新築住宅の設計やフルリノベーションを手掛ける段階であれば、後付けの家具では得られない建築的一体感を追求できます。その代表格が、建物の壁厚(柱と石膏ボードの間の空間)をくり抜いて作る「壁厚埋め込み型ニッチ収納」です。
建材大手の南海プライウッドなどが展開する専用埋め込み収納ユニットは、室内に飛び出す寸法がわずか2〜3cm程度に抑えられています。便器の真後ろにあっても立ち座りの邪魔にならず、視覚的なノイズを最小限に抑え込めるのが決定的な強みです。ただし、このニッチ収納には構造上の制約があります。断熱材が詰まっている「外壁に面した壁」や、建物の耐震性を担う「筋交い(すじかい)」が入っている耐力壁には設置できません。設計の初期段階で間取りの配置を工務店や建築士と入念に擦り合わせる必要があります。
もう一つのトレンドが、「トイレ背面カウンター収納」とキャビネット型トイレの融合です。TOTOの『レストパル』やLIXILの『リフォレ』に代表されるキャビネット一体型便器は、タンクや給水ホース、配管類を背面の木製キャビネット内に完全に隠蔽します。便器の両サイドにブラシや洗剤を収める縦型収納が組み込まれており、上部はフラットな手洗いカウンターとして機能します。
設計のプロが提唱する「失敗しない寸法ルール」は明快です。背面収納の奥行きは内寸15cm。このサイズは一般的なトイレットペーパーの直径(約11〜12cm)に指のクリアランスを加えたジャストサイズであり、文庫本やサニタリー用品のボックスもきれいに収まります。これ以上深く作ると、前述の「頭上圧迫感」と「取り出しにくさ」という罠にはまることになります。