この独創的な味わいを生み出しているのが、オーナーベーカーの大宮奈緒氏だ。ニューヨークに渡り、現地のベーカリーやレストランで修行を積んだ彼女は、現地の空気感と伝統的なベイクの技術を肌で吸収してきた。
大宮氏が目指したのは、日本人の舌に迎合して骨抜きにされたアメリカ菓子ではない。本場ニューヨークペイストリーが持つ力強さ、ざっくりとした大らかなテクスチャー、そして素材同士がぶつかり合って生まれる複雑な旨味を、正真正銘のクオリティで再現することだった。
上質なブラウンシュガーやサワークリーム、粒の大きなシーソルトを巧みに使い分ける職人技。甘味を引き締める塩気の利かせ方や、スパイスの調合バランスには、長年の経験に裏打ちされた計算が光る。彼女の手から生まれる焼き菓子は、どれも真っ直ぐで嘘がない。