アイロンビーズという表現媒体とポケモンの相性が抜群に良い理由は、その歴史的背景にある。『ポケットモンスター 赤・緑』の時代、容量の限られたゲーム画面の中でモンスターを表現するために採用されたのが、最小限のドット絵(ピクセルアート)だった。任天堂株式会社と株式会社ポケモンが長年育んできたこの視覚的DNAは、正方形のグリッドに丸いビーズを並べる作業と完璧に合致する。
杉森建氏が描いた原画の持つ鋭い眼光や力強い筋肉のラインは、ピクセル単位に削ぎ落とされることで、かえって象徴的な美しさを際立たせる。ドットの1コマをどの色のビーズに置き換えるか。その思考プロセス自体が、かつての開発者たちのデザイン哲学を追体験するような深い没入感を与えてくれるのだ。