物語の背景を理解する上で不可避となるのが、昭和の時代に日本革命的共産主義者同盟から枝分かれし、独自の思想的尖鋭化を遂げた革マル派の存在だ。その精神的支柱であり、組織を絶対的なカリスマとして牽引したのが黒田寛一である。彼の掲げた反帝国主義・反スターリン主義の理論は、多くの若者や知識人を引きつけ、日本社会に深い爪痕を残した。
作品内では、黒田寛一という人物の異質なカリスマ性と、彼が築き上げた地下組織の閉鎖的な集団心理が緻密に掘り下げられている。党派間の凄惨な内ゲバ闘争、理論武装された言葉の暴力、そして組織防衛のために研ぎ澄まされた独自の警備思想。日本革命的共産主義者同盟の内部で何が起きていたのか。かつて街頭を埋め尽くしたヘルメットとゲバ棒の裏側に隠された、組織の生々しい系譜がスクリーンの上で解き明かされる。