本楽曲の知名度と情念をさらに引き上げたのが、2つの歴史的なメディアタイアップと文化的出来事です。
1つ目は、2004年に公開されたカルト的人気を誇るSFサスペンス映画『バタフライ・エフェクト(The Butterfly Effect)』の劇場公開版エンディング曲としての起用です。過去をやり直す能力を持つ主人公エヴァンが、最愛の女性ケイリーを救うために選んだ「あまりにも切なく究極の決断」。そのラストシーンで、雑踏の中をすれ違う二人の背景に流れる「Stop Crying Your Heart Out」のイントロとサビの美しさは、映画史に残る名演出として今も語り継がれています。
2つ目は、楽曲リリース直前の2002年日韓ワールドカップにおけるイングランド代表の敗退です。準々決勝でブラジルに逆転負けを喫し、ピッチ上で涙を流すデビッド・ベッカムら選手たちの姿とともに、英BBCのハイライト映像のBGMとして本作が使用されました。国中の失望と悔しさを癒やすかのように流れたこの曲は、イギリス国民にとって「失意からの再生」を象徴するメモリアルソングとして国民的記憶に深く刻まれることとなりました。