伊吹五郎のパブリックイメージを心地よく裏切り、ファンの心を捉えて離さないのがフラメンコギターの卓越した演奏技術です。バラエティ番組などで時折披露されるその指さばきは、単なるタレントの隠し芸を完全に逸脱しています。
現場スタッフの手記や共演者の証言によると、フラメンコとの出会いは壮年期に差し掛かった頃でした。スペインの伝統音楽が持つ哀愁と情熱、リズムの厳格さに魅了された伊吹は、一流の指導者に師事。多忙な撮影スケジュールの合間を縫い、指先にタコを作り血が滲むまで爪を削りながら弦を弾き続けたといいます。
舞台関係者は当時の様子を次のように振り返ります。
「楽屋から聴こえてくるのは、哀切に満ちた本場アンダルシアのリズムでした。時代劇の衣装を身にまといながら、クラシックギターを抱えてラスゲアード(爪で弦を掻き鳴らす技法)を狂いなく刻む姿は圧巻そのもの。決して生半可な気持ちではなく、一つの道を極めようとする職人の執念そのものでした」
SNS上でも「格さんが突如情熱的なギタリストに変貌するギャップが凄すぎる」「指の動きのキレが80代目前とは思えない」と定期的に話題を呼びます。筋力とリズム感を同時に鍛え上げるフラメンコは、伊吹五郎の脳と身体の若々しさを保つ最高の健康法としても機能しています。