仲見世を抜けた先に広がる浅草寺は、628年創建とされる都内最古の寺院だ。関ヶ原の戦いを前に徳川家康が戦勝祈願に訪れ、江戸幕府の祈願所として手厚く保護された歴史を持つ。本堂に漂う線香の香りと常香炉の煙に包まれると、時代を超えて人々が寄せてきた祈りの厚みに圧倒される。
一方で、浅草はサブカルチャーや大衆芸能の聖地としても独自の光を放つ。かつてビートたけしが下積み時代を過ごした浅草フランス座(現・浅草東洋館)周辺の「浅草六区」には、今も芸人たちの熱気と哀愁が漂う。さらに大正期の浅草が舞台となった『鬼滅の刃 浅草編』の影響で、レトロモダンな街並みを追体験しようと訪れる若い世代の姿も目立つ。幾重にも重なる物語のレイヤーこそが、浅草の歩行体験を特別なものにしている。