生年月日は1996年2月16日。東京都で産声を上げ、山梨の豊かな自然のなかで感性を育んだ小松菜奈は、いまや日本を代表する実力派女優の筆頭格となった。20代前半までの彼女が放っていたのは、どこか現実離れしたミステリアスな空気感と、壊れそうなほどの危うさだった。しかし、節目の年代を迎えた現在の彼女からは、地に足のついた揺るぎない自信と人間的な温もりが溢れ出ている。
年齢を重ねることをこれほど肯定的に、そして美しくスクリーンに刻み込める俳優が他にいるだろうか。皺ひとつのない完璧さよりも、人生の経験が醸し出す陰影こそが表現の厚みになる。彼女の歩みを見ていると、表現者にとって年齢とは単なる数字ではなく、表現のパレットに新しい色彩を足していく過程そのものであると確信させられる。