沖縄の言葉でヒートゥー(地域によってはピトゥとも発音)とは、主にイルカや小型のハクジラ類(ゴンドウクジラなど)全般を指す琉球方言です。
その語源については諸説存在します。海面に浮上して呼吸する際の「プシュー」という噴気音に由来するという説や、人を助ける・人の形に似ているという民間伝承から「人(ピトゥ)」の転訛であるとする民俗学的見解など、島ごとに多彩な解釈が伝えられてきました。
生物学上、クジラとイルカには明確な分類上の境界線はなく、成体の体長がおおむね4メートルを超えるものをクジラ(沖縄方言で「クジラ」や「ピジラ」)、それ以下の小型種をイルカ(ヒートゥー)と呼び分けるのが一般的です。沖縄の近海漁業史においてヒートゥーとして扱われてきた主な種類には、以下のような海洋生物が含まれます。
- スジイルカ・マイルカ:群れで沿岸に入り込みやすく、かつての追い込み漁の主対象となった種。
- コビレゴンドウ・ハナゴンドウ:頭部が丸く、脂肪分と赤身肉が豊富で食文化の中心となった小型鯨類。
- オキゴンドウ:体長5メートル前後に達することもある大型種で、強靭な引きと豊富な肉量を持つ。
沖縄の生活者にとってヒートゥーは、単なる愛玩動物や観光資源ではなく、かつては厳しい島嶼環境を生き抜くための不可欠な「海の恵み(海の幸)」でした。