競技生活の終盤から引退にかけて、航平氏と周子さんの間には心地よい緊張感と「大人同士」の適度な距離感が生まれていった。かつてのような密着型の応援から一歩引き、遠くから見守るスタンスへとシフトしたのだ。
スポーツ選手と親の「子離れ」は容易ではない。長年人生のすべてを捧げてサポートしてきたからこそ、喪失感を抱く親も少なくない。しかし周子さんは、息子がプロのアスリートとして、そして一人の人間として自立していく過程を温かく受け入れた。現在では、体操界の普及活動に尽力する航平氏を、一人のリスペクトすべき後輩・指導者として称える姿が見られる。