本作が誕生した2017年当時、カンザキイオリ氏は10代後半の多感な時期にあり、自身の無力感や将来への焦燥感、そして社会に溢れる「命を大切にしよう」という薄っぺらな綺麗事に対する強烈な違和感を抱えていました。その鬱屈とした感情と葛藤を、一切の妥協なくストレートに五線譜へ叩きつけたものこそが、本作の出発点です。
インターネット上にはびこる「死にたい」という軽はずみな嘆きと、それに対して大人が投げかける「死ぬな」「命は素晴らしい」という無責任な正論。そのどちらにも居場所を見出せなかった作者が、自問自答の果てに生み出したのが、ボーカロイド・初音ミクに高速のピアノロックを叩きつけさせるという表現手法でした。感情を持たない合成音声だからこそ、吐き出される鋭利な言葉の刃がリスナーの無意識にダイレクトに突き刺さったのです。