今作が世界的な話題を集めている最大理由は、緻密に組み上げられた重厚なストーリーテリングだ。巨匠・是枝裕和が描く人間の深層心理と、主演の菅田将暉が魅せる鬼迫の演技が見事に重なり合い、従来のミステリー・サ塑ンスの枠組みを根底から覆す傑作を生み出した。
作中で提示される謎めいた伏線と、湖畔の静けさが広がる湖北エリアの情景が見事なコントラストを成している。東宝のプロデューサーは「駅という誰もが利用する日常の空間が、一瞬にして予測不能なサスペンスの舞台へと変貌する緊張感を極限まで追求した」と明かす。観る者をスクリーンに釘付けにする圧倒的な没入感の秘密は、この妥協なきロケーション選定と演出にあった。