作中では、公道最速を目指す若者たちがそれぞれの哲学とドライビングスタイルを愛車に託して激突しました。群馬エリアの秋名山、赤城山、妙義山を舞台にした初期から、神奈川エリアでの「プロジェクトD」遠征編に至るまで、登場したマシンは実在する当時の名車ばかりです。
物語の軸となった主要ライバルたちの愛車とスペックを振り返ると、単なるカタログデータ以上の個性が見えてきます。
藤原拓海:スプリンタートレノ(AE86)
主人公・藤原拓海の愛車は、1.6L直列4気筒DOHCの4A-GEU型エンジンを搭載したFR(後輪駆動)クーペ「トヨタ・スプリンタートレノ 3ドア GT-APEX(前期型)」。パワーはノーマル時でわずか130馬力程度に過ぎませんでしたが、約900kg前後の超軽量ボディと卓越した荷重移動技術を武器に、ハイパワー車をコーナーの突っ込みで圧倒しました。中盤以降はグループA仕様のレース用高回転型エンジン(AE101系ベース)へ換装され、11,000rpmまで吹け上がるモンスターマシンへと進化を遂げます。
高橋涼介:サバンナRX-7(FC3S)
「赤城レッドサンズ」のリーダーであり、公道最速理論の構築者・高橋涼介のマシンは「マツダ・サバンナRX-7 ∞(アンフィニIII)」。654cc×2のロータリーターボ(13B-T)を搭載し、涼介の緻密なデータ分析と走りに合わせて、あえて出力を抑え込んだ350馬力前後のトータルバランス重視セッティングが施されていました。
高橋啓介:RX-7 Type R(FD3S)
涼介の弟であり、拓海の最大のライバル兼チームメイトとして成長した高橋啓介が駆るのは「マツダ・RX-7 Type R(FD3S)」。シーケンシャルツインターボを搭載した13B-REW型ロータリーエンジンは、RE雨宮のエアロパーツや吸排気チューンによって最終的に400馬力オーバーへと引き上げられ、圧倒的な立ち上がり加速と旋回性能を誇りました。
中里毅:スカイラインGT-R(BNR32)
「妙義ナイトキッズ」のリーダー・中里毅の愛車は、日産の至宝「スカイラインGT-R(BNR32)」。2.6Lツインターボ(RB26DETT)と高度な4WDシステム「アテーサE-TS」を搭載し、380馬力までチューンされた漆黒のモンスター。圧倒的なトラクション性能を誇る一方、約1.4トンのフロントヘビーな車重が下り坂でのタイヤマネジメントという弱点を生み出しました。
庄司慎吾:シビック(EG6)
中里と同じくナイトキッズに所属し、拓海に「ガムテープデスマッチ」を挑んだ庄司慎吾が操るのは「ホンダ・シビック SiR II(EG6)」。高回転型NAエンジン(B16A VTEC)を搭載した軽量FF(前輪駆動)マシンで、低速テクニカルコースでの抜群の回頭性とアンダーステアをねじ伏せるFF特有の走法が描かれました。
須藤京一:ランサーエボリューションIII(CE9A)
ハイテク4WD軍団「エンペラー」を率いる須藤京一の愛車は「三菱・ランサーエボリューションIII GSR」。2.0Lターボ(4G63)にラリー譲りの電子制御と「ミスファイアリングシステム(2次エア供給システム)」を組み込み、ターボラグを極限まで排除した350馬力の立ち上がりダッシュで拓海のハチロクエンジンを一度はブローに追い込みました。