数あるマグロ属の中でも、最高峰の巨体を誇るのが太平洋クロマグロだ。体長3メートル、体重400キログラムを超える個体も珍しくない。彼らは魚類でありながら体温を周囲の水温よりも高く保つ温血性を備えており、超高速遊泳を支えるために膨大な酸素とエネルギーを消費し続けている。
この高い代謝率は、現代の水産業にとっても極めて繊細な課題となっている。養殖用の生簀(いけす)や仕切り網の中で急旋回を余儀なくされた際、網に激突したり衝突事故を起こして遊泳スピードが落ちると、一気に酸欠へ陥ってしまう。養殖技術の現場では、彼らがストレスなく円運動を描き続けられる巨大な網の設計や水流の制御が常に追求されている。