特に女性において握力の維持が叫ばれる背景には、エストロゲンなど女性ホルモンの変化と筋肉量の密接な関係がある。加齢とともに筋肉量が急速に減少する疾患「サルコペニア」や、身体的・精神的な活力全体が衰退する状態「フレイル」のリスクは、男性以上に女性の老後を脅かす深刻な問題となっている。
厚生労働省の指針においても、高齢期の要介護化を防ぐための早期発見指標として握力測定が推奨されている。具体的には、アジア人の評価基準において女性の握力が18kg未満となった場合、サルコペニアの疑いが強く持たれる。
階段の昇り降りが億劫になる、歩く速度が落ちるといった自覚症状が現れる頃には、すでに全身の筋肉減退が相当進んでいることが多い。手の握力は、そうした目に見えにくい身体の衰えを最も早い段階で教えてくれるアラート機能なのだ。