ネット上の掲示板やSNSでは、「地方の郊外型モールにありがちな収益悪化による自然淘汰ではないか」「競合大型店との競争に敗れて撤退しただけだ」といった憶測が散見されます。しかし、現場のデータと出店企業のIR資料を精査すると、そうした見解は明白な誤解であることが分かります。
被災前のコンフォモール内灘は、金沢医科大学病院や内灘町役場を擁する町の主要動線(県道60号線至近)に位置し、堅調な日常消費を維持していました。内灘町の総人口は約2万6000人を数え、金沢市のベッドタウンとして世帯収入も安定したエリアです。食品スーパーのマックスバリュは日常の食卓を支えるインフラとして高い稼働率を誇り、ニトリも河北郡市および金沢北部をカバーする重要拠点として位置づけられていました。
つまり、商業的な採算割れが原因で店を畳んだのではなく、「地盤が構造物としての荷重に耐えられなくなった」という物理的限界こそが真の理由です。一般に、液状化対策工事を伴う大規模商業施設の建て替えには数十億円単位の資本投下が求められます。借地関係の権利調整、複数地権者との合意形成、そして行政による地域一括の液状化再発防止事業とのスケジュール調整など、民間企業1社の企業努力だけでは突破できない法意・技術の障壁が横たわっていたのが現実です。