そば処庄司屋のおすすめメニューを語る上で欠かせないのが、「といちそば」と「板そば」、そして濃厚な旨味を誇る「鴨汁そば」です。それぞれの特徴と職人の技法を詳細に検証します。
まず代名詞とも言えるのが「といちそば」です。一般的な十割蕎麦はボソボソとした食感や切れやすさが課題になりがちですが、庄司屋のといちそばは蕎麦粉十一(十割分)に対してつなぎ一割を加える外一(といち)の配合を採用しています。自社製粉による粗挽き粉の豊かな風味と、滑らかな喉越し、手打ちならではの心地よいコシが共存しており、十割蕎麦を凌駕する芳醇な香りと啜り心地を両立しています。
山形郷土の象徴である「板そば」に対する評判も極めて高い水準を維持しています。杉の木箱に薄く均一に蕎麦を盛り付ける板そばは、かつて農作業の合間や祝いの席で振る舞われた歴史を持ちます。一般的な山形の板そばは噛む力を要する極太硬麺が多い中、庄司屋の板そばは角がキリリと立ち、噛み締めると蕎麦の甘みが広がりながらも、喉を通る瞬間は驚くほど軽やかです。本枯節を贅沢に使った濃い口のつゆが麺の力強さをしっかりと受け止めます。
さらにネット上の口コミで絶大な支持を集めているのが「鴨せいろ(鴨汁そば)」です。合鴨の良質な脂が溶け出した温かいつゆには、香ばしく焼き目をつけた葱の甘みが溶け込み、冷たい手打ち蕎麦をくぐらせた瞬間に重層的なコクが口いっぱいに広がります。本店で県外からの賓客をもてなす際、常連客がこぞって注文するのが「といちそば・さらしなそば・天ぷら」が揃った相盛り仕立てのメニューです。職人が極限まで白く打ち上げた繊細な「さらしなそば」と力強い「といちそば」を食べ比べられる贅沢さは、庄司屋の技術の幅広さを雄弁に物語っています。