物語のクライマックス、シシ神の首を取り戻した二人は大地に緑を取り戻します。しかし、映画は「めでたしめでたし」の安易な和解を描きません。サンはアシタカに「アシタカは好きだ。でも、人間を許すことはできない」と告げ、アシタカはそれを受け入れてこう返します。
「それでもいい。サンは森で、わたしはタタラ場で暮らそう。共に生きよう。会いに行くよ。ヤックルに乗って」
このアシタカの呪いの結末と二人の選択は、映画が提示する「共生」のリアルな厳しさを物語っています。アシタカの腕からタタリ神の黒い痣は完全に消え去ることはなく、薄い痕跡として残ります。傷や業を背負ったまま、相容れない森と人間社会という異なる領域に立ち続け、それでも互いを想いながら生きていく——これこそが本作が導き出した「生きろ」の具体的実践でした。