有村架純の演技キャリアにおいて、最大のターニングポイントとして語られるのが2017年公開の映画『ナラタージュ』です。行定勲監督がメガホンを取り、嵐の松本潤が演じる元高校教師・葉山と、有村架純が演じる元生徒・泉の許されない狂おしい愛を描いた本作では、浴室でのシャワーシーンや濃密なベッドシーンが大きな話題を呼びました。
公開当時、一部のネット上では「過激なシーンはボディダブル(吹き替えの代役)ではないか」という憶測も飛び交いました。しかし、実際の制作現場において吹き替えは一切使われておらず、有村架純本人が全身全霊で演じきったことが制作陣の証言からも明らかになっています。
行定監督は彼女の覚悟について、「有村架純という女優の持つ芯の強さに圧倒された」と述懐。薄暗い室内で感情をぶつけ合うベッドシーンは、単なる肉体美の誇示ではなく、狂おしいほどに求め合う人間の情念をフィルムに焼き付けるための必然的な表現でした。この体当たりの熱演こそが、彼女を「国民的アイドル女優」から「本格派映画女優」へと押し上げる決定打となったのです。