ホイッスルが鳴り響いた瞬間から、ピッチ上には張り詰めた緊張感が漂っていました。FC東京対水戸ホーリーホックの対戦において、最大の焦点となったのは「J1の個のクオリティ」対「J2屈指の連動したプレッシング」という構図です。試合前のFC東京対水戸 スタメン予想では、互いに主力の温存かターンオーバーの採用が囁かれていたものの、ピッチに現れたのは勝利に一切の妥協を許さない盤石の布陣でした。
FC東京を率いる指揮官は、中盤の底にボール奪取能力と展開力を兼ね備えたアンカーを配置し、幅広くピッチを使ったサイドアタックを狙いました。対する水戸ホーリーホックは、代名詞ともいえるコンパクトな4-4-2のブロックを構築。中央のパスコースを執拗に消しながら、奪った瞬間に縦へ素早く刺すショートカウンターを徹底してきました。
前半、主導権を握ったのはボール保持率で上回るFC東京でした。相手ペナルティエリア付近まで幾度となく侵入し、鋭いミドルシュートでゴールを脅かします。しかし、水戸の守護神が見せた神がかり的なセービングと、最終ラインの体を張ったブロックが立ちはだかり、スコアレスのまま時計の針が進みました。
勝負を分けた決定打は、試合終了間際の後半41分に訪れます。疲労から水戸のプレスのスライドがわずか数十センチ遅れた瞬間、FC東京のサイドハーフがインサイドへ鋭くカットイン。マークを引きつけ、絶妙なタイミングで逆サイドのスペースへラストパスを供給しました。そこへ猛スピードで走り込んだ途中出場のストライカーが、右足一閃でゴールネットを揺らしたのです。
試合後の公式記者会見で、水戸の指揮官は「90分間のうち89分間はプラン通りだった。だが、トップカテゴリーの選手が一瞬の隙を逃さない決定力を持っていた」と悔しさを滲ませました。一方、勝利を収めたFC東京の監督は「我慢比べの展開だったが、選手たちが最後まで戦術的規律を失わなかったことが勝因」と振り返り、冷や汗を握る僅差の勝利であったことを認めています。