秋葉原の中央通りから一本入った路地、かつて夕刻になるとブレザーやセーラー服姿の女性たちがビラを手に数十メートルにわたって連なっていた。通称「制服通り」と呼ばれたこのエリアの風景は、ここ数年で一変している。歩行者を執拗に取り囲むような声かけは影を潜め、私服警備員や千代田区の巡回指導員が鋭い視線を光らせる光景が日常となった。この劇的な変容の引き金となったのが、行政と警視庁による複合的な包囲網である。
発端を遡れば、2010年代から2020年代初頭にかけて社会問題化した秋葉原制服リフレ摘発の経緯がある。女子高生を想起させる衣装での個別密室サービス(JKビジネス)に対し、児童福祉法や労働基準法、さらには東京都特定異性接客営業規制条例が次々と適用され、違法営業形態は徹底的に排除された。だがその後、一部の事業者が看板を掛け替えて参入したのが無許可の接待を伴う悪質なコンセプトカフェだった。
これに対し、警視庁は2024年以降、風俗営業法(無許可接待)違反の適用と店舗型風俗営業としての摘発基準を大幅に厳格化。関係自治体による指導要綱の改定と連動し、いわゆる秋葉原コンカフェ客引き規制の真相は「違法営業を街から完全に兵糧攻めにする」という明確な意思のもとで断行された。結果として、秋葉原制服通り現在の治安は劇的に改善され、訪日外国人観光客やファミリー層が夕方以降も安心して通行できる街並みへと回帰している。
水面下でのいたちごっこが完全に終息したわけではないものの、看板や衣装だけを「制服」と偽った不透明な営業は淘汰された。現在の秋葉原は、純粋なアパレル・ホビーとしての制服文化と、法令基準をクリアした健全なエンターテインメントのみが生き残る成熟期へと突入している。