デジタル社会が極限まで進んだ現在、若者たちの間では「あえて不便な場所へ行く」ことがステータスとなっている。スマホの画面越しに見る美しい画像には飽き飽きした。彼らが求めているのは、肌を刺す夜風の冷たさや、実際に自分の手でロープを引いて鳴らす鐘の物理的な振動だ。
生駒山頂へと続く信貴生駒スカイラインは、決してアクセスが良いわけではない。車を持たない若者たちがシェアカーを借り、音楽を流しながら山道を登る。そのプロセス自体が、今の時代における贅沢なコンテンツなのだ。展望台にたどり着き、自らの手で鳴らす鐘の音は、彼らにとって「今、ここに生きている」という強烈なリアルを実感させる呼び水となっている。