1990年代以降の日本漫画・アニメ業界を俯瞰したとき、『SLAM DUNK』が残した足跡はあまりにも巨大だ。それまでのスポーツ漫画に見られた超人的な必殺技やファンタジー要素を排し、純粋なバスケットボールのスピード感と泥臭い肉体描写を突き詰めたリアリズム。その中核にあったのが、花道の「泥臭い自己肯定感」である。
集英社が生み出してきた数多のヒット作の中でも、これほどまでに敗北と挫折を丁寧に描いた作品は稀である。花道の「天才」発言は、失敗を恐れて小さくまとまりがちな現代の若年層に対しても、強烈なカウンターパンチとして機能している。根拠など後からついてくればいい、まず宣言し、行動せよという剥き出しのパッションが、クリエイターやアスリートたちを刺激し続けている。