みゆき通りからほど近いビルの地下へと続く階段。そこに昼時から伸びる列の長さこそが、この店の根強い人気を何よりも雄弁に物語っています。伊勢廣銀座5丁目店に行列ができる最大の理由は、「老舗の職人技を昼から手頃な価格で味わえる」という圧倒的な費用対効果にあります。
伊勢廣の歴史は、大正10年に初代が京橋で創業した屋台から始まりました。現在に至るまで一貫して守られているのが、毎朝届く丸鶏を職人自らが店内で捌くという妥協なき仕込みです。部位ごとに最適な厚みと串打ちが施され、最高級の紀州備長炭の強い遠火で一気に焼き上げられます。外側はパリッと香ばしく、中は驚くほどジューシーな肉汁を閉じ込める焼きの技術は、他店では決して真似のできない職人芸です。
銀座という一等地でありながら、老舗の暖簾を守りつつ気取らない活気がある空間設計も人を引き寄せる要因です。暖簾をくぐった瞬間に漂うタレの香りと炭火のパチパチとはぜる音、そして職人たちの無駄のない手捌き。五感すべてを満たす食体験が約束されているからこそ、人々は何十分もの待ち時間を厭わずに並び続けます。