喪黒福造がアイテムや奇策を授ける際、必ず課すのが「絶対に破ってはならない約束のルール」です。本作において喪黒が頼母木に命じた条件は極めて明確でした。
「このマスクは昼間の仕事中だけ使用し、夜になったら必ず外して素顔の自分に戻ること」
最初の数日は真面目にルールを守っていた頼母木でしたが、周囲から向けられる羨望の眼差しや賞賛に酔いしれるうち、次第に素顔の気弱な自分へと戻ることに強い恐怖と嫌悪感を抱き始めます。同僚たちとの夜の宴席、そして女性とのデートの席でも「頼もしい男」であり続けたいという欲望に抗えず、彼は約束を破って夜間もマスクを外さずに過ごしてしまいました。
ルール違反を犯した頼母木の前に、闇の中から喪黒福造が静かに姿を現します。「約束を破りましたね……」と冷たく言い放つ喪黒。頼母木が取り繕う暇もなく、喪黒の右腕が一直線に伸び、鋭い閃光とともに「ドーン!」という呪の一撃が放たれました。
翌朝、頼母木が目を覚ますと、そこには取り返しのつかない現実が待っていました。「頼もしい顔」のマスクは彼の皮膚と完全に同化・硬化し、文字通り引き剥がすことのできない「無表情で異様な能面」となって頭部に定着してしまったのです。笑うことも泣くこともできず、一生その不自然な顔のまま生きることを強いられた頼母木の絶叫が響き渡り、物語は幕を閉じます。