現在、フォトジャーナリストとして国内外を奔走する安田菜津紀氏の取材領域は、かつてない広がりを見せています。活動の主軸となっているのは、2019年に夫の佐藤慧氏らと共に立ち上げた認定NPO法人「Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)」です。同団体において副代表を務める彼女は、単なる写真の展示にとどまらず、音声配信、YouTubeドキュメンタリー、教育機関での出前授業など、重層的なメディアミックスを展開しています。
2024年から2026年にかけての活動で特筆すべきは、緊迫が続くパレスチナ・ガザ地区の人道危機やウクライナ避難民の長期追跡、そして国内における改正出入国在留管理法(入管法)施行後の実態調査です。収容施設内の処遇問題や難民申請者の強制送還リスクなど、光が当たりにくい国内の人権課題に対して精力的な取材を敢行。現場で収めた生々しい記録は、TBS系『サンデーモーニング』をはじめとするテレビ報道やラジオ番組、各紙オピニオン欄を通じて広く社会へ還元されています。
テレビ出演時の物腰柔らかな語り口の奥には、過酷な現場を歩き抜いてきた者ならではの観察眼が光ります。スタジオでのコメントは情緒的な批判に終始せず、国際人道法や国際人権規約といった国際標準に照らした論理的な提起が多く、視聴者層に深い思索を促す役割を果たしています。