チロルの森の閉園を語る上で欠かせないのが、全国で農業体験型テーマパークを展開していた運営会社「株式会社ファーム」の動向です。
ファーム社は、愛媛県に本社を置き、全国各地の自治体と連携して「農業公園」をプロデュース・運営するパイオニア的存在でした。「チロルの森」のほかにも、各地でドイツやイギリスの農村景観を模したテーマパークを次々と手掛け、一時は地方創生ビジネスの旗手としてメディアの注目を浴びました。
しかし、全国規模での急激な設備投資と多額の借入金、天候不順や地方の人口減少が重なり、ファーム社は2016年に民事再生法の適用を申請。経営再建の過程で事業譲渡や運営体制の見直しが進められました。チロルの森自体も経費削減やイベントの工夫で生き残りを図ったものの、施設リニューアルのための大型投資余力は完全に削がれており、そこへ2020年のパンデミックが直撃したことで、撤退・営業終了という苦渋の決断を下さざるを得なかったのが経営面の実情です。