TBS系ドラマ『3年B組金八先生』第2シリーズ(1980〜1981年放送)の中核をなしたテーマが、いわゆる「腐ったミカンの方程式」です。この言葉が指し示すのは、「箱の中に1つでも腐ったミカンがあると、他の正常なミカンまで腐ってしまう。だから腐ったミカンは箱から直ちに排除しなければならない」という、当時の学校組織や管理教育が敷いていた冷徹な論理でした。
物語のキーパーソンとなったのが、直江喜一氏演じる転校生・加藤優(かとう まさる)です。前所属校である荒谷第二中学校(荒谷二中)で激しい校内暴力の主犯格とみなされ、学校側から「厄介払い」される形で桜中学の3年B組へと送り込まれました。荒谷二中の教師たちは、学校の秩序維持と進学実績の保全を優先するあまり、加藤優という一人の生徒の内面や家庭環境に向き合うことを放棄し、組織防衛のために「排除」という安易な選択肢をとったのです。
当時の報道や脚本家・小山内美江子氏の手記によると、このエピソードは単なるフィクションではなく、全国各地で激化していた中学校の荒廃と、それに対する学校側の画一的な管理主義・排除のシステムを痛烈に告発する意図で執筆されました。加藤優は単に暴力を好む非行少年だったわけではありません。病気の母を支え、不条理な大人への怒りを抱えた繊細な少年が、周囲の決めつけによって追い詰められていく過程が克明に描かれています。