盛大な挙式を行い、全国民から祝福された二人でしたが、実際には役所に婚姻届が提出されることはありませんでした。この美空ひばりと小林旭の入籍・未入籍問題の核心にいたのが、ひばりの実母であり「ひばりプロダクション」社長として絶対権力を握っていた加藤喜美枝です。
母・喜美枝にとって、ひばりは手塩にかけて育て上げた「最高傑作」であり、一族の生活と利権を支える唯一無二の柱でした。小林旭は「結婚した以上は家庭に入り、自分の妻として暮らしてほしい」と望みましたが、喜美枝は「美空ひばりは日本の宝であり、個人の妻として引退させるわけにはいかない」と猛反発しました。
入籍を先延ばしにされ続けた結果、二人の関係は法的な保護のない事実婚の状態に留め置かれました。ひばり自身は小林旭を深く愛し、家庭的な良妻として尽くそうと努力していましたが、実母との激しい板挟みによって精神的に追い詰められていきました。