西坂の丘に建つ日本二十六聖人記念館と聖フィリッポ教会(西坂教会)は、近代日本建築史においても極めて重要な傑作として知られています。設計を手がけたのは、日本にアントニ・ガウディを本格的に紹介した先駆者である建築家・今井兼次です。
今井は愛妻の死を契機にキリスト教の洗礼を受け、1962年の二十六聖人列聖100年祭に合わせてこの記念館群を完成させました。建物の外壁には、世界各地や日本国内から集められた陶片、さらには原爆の爆風で被災した長崎の陶器片などがモザイク状に埋め込まれています。破片の一つひとつに祈りと鎮魂の意が込められたこの技法は、まさにサグラダ・ファミリアの手法を昇華させたものです。
空に向かって伸びる2つの非対称な塔は、天からの祈りと神の恩恵の往来を象徴しています。また、記念館の正面広場には彫刻家・舟越保武が手がけた高さ5.6メートルに及ぶ「二十六聖人等身大ブロンズ浮彫」が鎮座し、合掌する聖人たちの静謐な表情が訪れる者の心を強く揺さぶります。