馬の後ろ足から繰り出されるキックの衝撃力は、バイオメカニクスの研究や獣医学の解析において約1トン(約9,800ニュートン)前後に達すると算出されています。競走馬(サラブレッド)や大型の乗用馬の体重は概ね450kgから600kgに達し、その強靭な後肢の筋肉が一瞬で収縮して放たれる打撃は、まさに凶器そのものです。
このエネルギーを身近な現象に例えると、時速50kmから60kmで走る軽自動車がノーブレーキで人体に直撃する衝撃とほぼ同等です。打撃面が蹄鉄(硬い鉄製またはアルミニウム製の金具)で覆われている場合、その打撃力はピンポイントに集中します。野球の硬式ボールや格闘家の打撃とは比較にならない質量と速度が加わるため、防具を着用していても致命傷を免れないケースが少なくありません。