この歴史的大逆転の立役者となったのが、サントリーホールディングス株式会社とオーストラリアのバイオベンチャーであるフローリジーン(Florigene)の共同研究チームです。1990年にスタートしたプロジェクトは、当初「無謀な挑戦」と冷ややかに見られていました。バラには青色色素「デルフィニジン」を作るための遺伝子が存在せず、古典的な交配育種法では青色を実現することが原理的に不可能だったためです。
研究チームを牽引した鈴木賢一(植物育種家)ら専門スタッフは、ペチュニアやパンジーから青色遺伝子を抽出し、バラのDNAへと組み込む気の遠くなるような実験を繰り返しました。遺伝子がうまく機能しなかったり、発現しても赤色色素に負けてくすんだ色合いになったりと、幾重の壁が立ちはだかりました。そして14年という歳月と莫大な研究投資の末、高度な遺伝子組換え技術を駆使して2004年に青色色素を持つバラの開発に成功。この快挙は、アグリバイオテクノロジー産業の歴史に刻まれる金字塔となりました。