東三河広域連合を語るうえで避けて通れないのが、その設立に至る複雑な歴史的背景です。かつて平成の大合併の波が押し寄せた際、東三河地域では「東三河一つの市」を目指す大同合併構想が活発に議論されました。しかし、中核市である豊橋市への機能一極集中を警戒する周辺自治体の懸念や、住民投票での反対、歴史的アイデンティティの衝突によって、全市町村が一堂に会する単一自治体の誕生は実現しませんでした。
合併という手段を断念せざるを得なかった各自治体が、少子高齢化と人口減少に直面する中で導き出した現実的な選択肢こそが、地方自治法に基づく広域連合の結成でした。自治体ごとの首長や議会を残したまま、共通する広域課題やスケールメリットが働く行政事務だけを切り離して共同処理する仕組みです。関係機関の記録によると、足掛け数年にわたる調整の末、2015年(平成27年)1月に正式設立され、同年4月から本格運用がスタートしました。
現在の東三河広域連合の構成市町村一覧は以下の8自治体で構成されています。
- 中核市・都市部:豊橋市(連合本部が置かれる拠点都市)
- 西側・沿岸都市部:豊川市、蒲郡市、田原市
- 奥三河・中山間地域:新城市、北設楽郡設楽町、東栄町、豊根村
人口数十万人規模の産業都市から、過疎化が進む数千人規模の山村までを包括するこの枠組みは、全国的にも極めて珍しいモザイク状の広域行政体として注目を集め続けています。