これほど知名度が高いにもかかわらず、なぜ「売ってない」「販売中止になったのでは」という噂が定期的に浮上するのでしょうか。菓子業界の流通システムと購買行動を分析すると、明確な3つの構造的要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、コンビニエンスストアにおける熾烈な棚割り(棚替え)サイクルです。大手コンビニの菓子棚は、毎週火曜日に投入される新商品と各社のプライベートブランド(PB)によって常に限られたスペースの奪い合いが行われています。正栄デリシィのような中堅実力派メーカーの商品は、一度定番から外れると次回の棚割り改編まで数カ月間店頭から完全に姿を消すことになり、これが利用者に「販売終了」の錯覚を与えてしまいます。
第2の要因は、スーパーにおける「売り場の死角」への配置問題です。一般的なチョコレート売り場(板チョコや大箱が並ぶ列)を探しても見つからない場合、店舗側がサク山チョコ次郎を「知育・吊り下げ菓子コーナー」や「子供向け駄菓子棚」に分類しているケースが多発しています。ターゲット層が子どもから大人まで幅広いがゆえに、店舗ごとの売り場選定がバラつき、大人の目線から見落とされやすい構造があります。
第3の要因が、SNSでの局所的なバズによる買い占め現象です。X(旧Twitter)やTikTokで「神の菓子」「手が止まらない」とインフルエンサーが言及するたび、特定地域の店頭在庫が一晩で枯渇する現象が2024年から2026年にかけて幾度となく観測されています。製造元の正栄デリシィは急激な需要爆発に対して即座にラインを増設する形態をとらないため、一時的な品薄状態が「売ってない」という検索クエリを急増させる引き金となっています。