タモリと天ぷらという組み合わせには、長年メディアを追ってきたファンなら誰もが納得する説得力があります。自ら厨房に立ち「食材の水分を瞬時に飛ばし、衣のなかで蒸し焼きにするのが天ぷらの本質」と語るほど、天ぷらの調理科学に深い一家言を持つタモリ。その彼が川崎の天ぷらに言及したとされる背景には、『タモリ倶楽部』での京浜工業地帯・川崎散策企画や、街の成り立ちに光を当てた『ブラタモリ』の川崎宿・臨海部特集が深く関わっています。
番組関係者や当時の制作スタッフの証言を辿ると、ロケの合間や打ち上げの席で、タモリが「ここの揚げ具合は素晴らしい」「胡麻油のブレンドとタネの火入れが絶妙だ」と感嘆の声を漏らした店舗が実在します。昭和から平成、令和へと移り変わるなかで、川崎の工場労働者や地元旦那衆の舌を満足させてきた職人の手仕事が、タモリの鋭い味覚を唸らせたのは紛れもない事実です。
特に話題を集めたのは、東京湾の浅瀬で獲れた肉厚な「江戸前穴子」を豪快に揚げる老舗や、川崎駅周辺の路地にひっそりと佇み、揚げたてを一品ずつ差し出すカウンター天ぷらの銘店でした。番組終了後も「あの時タモリが褒めていた店はどこなのか」とSNSや口コミサイトで捜索が続き、いつしか「川崎のタモリ行きつけ天ぷら」として都市伝説的に定着していきました。