昭和50年代後半から60年代にかけて、メディアを賑わせていた礼宮文仁親王(現・秋篠宮さま)のビジュアルは、従来の「生真面目で堅い皇族像」を完全に打ち破るものでした。すらりとした178cmの長身に、英国仕立てのタイトなスーツやツイードジャケットをラフに着こなし、前髪をやや長めに流したビートルズ風のヘアスタイル。当時の女性週刊誌やグラフ誌の表紙を飾るたび、キオスクで雑誌が飛ぶように売れたといいます。
2020年代半ばを迎えた現在でも、X(旧Twitter)やTikTokなどのプラットフォームで当時のアーカイブ写真が投稿されると、数万件規模の「いいね」が瞬く間に集まります。「純文学の青年作家のようなアンニュイな色気がある」「俳優のオダギリジョーさんや坂口健太郎さんに通じる塩顔イケメン」といった感想が相次ぎ、かつての熱気をご存じないZ世代やデジタルネイティブ層にとっても、その風貌は極めて新鮮に映っています。
宮内庁担当のベテラン記者は、当時の熱狂的な空気を次のように振り返っています。「浩宮さま(現・天皇陛下)が誠実で温厚な『理想の皇太子』像を体現されていたのに対し、次男である礼宮さまは常にどこか斜に構えたような、独特のダンディズムを漂わせていました。カメラを向けられても安易に満面の笑みを作らず、ふと見せるアンニュイな流し目や煙草をくゆらす自然体の姿が、大衆の心を強烈に惹きつけていたのです」。