当時の家庭用ゲーム機であるファミコンは、表示できるスプライト数や処理能力に厳しい制約を抱えていた。その限られた仕様の中で、画面上のキャラクターに圧倒的な速度感と緊張感を与えるため考案されたのが、ボタンを押し続けながら移動する手法である。
このアイディアは単なる移動手段の提供にとどまらなかった。敵を回避するリスクと、素早くステージを駆け抜けるリターンをプレイヤー自身に選択させるという、ゲームデザイン上の大きなイノベーションを生み出したのだ。ボタンを離せば減速し、押し続ければ崖を飛び越えるだけの最高速に達する。この極めてシンプルなルールの裏には、極限状態の制約を逆手に取った天才的な発想が隠されていた。