没入感あふれる映像美と緻密な心理描写を両立させたメガホンをとるのは、数々の大作アクションを成功に導いてきた佐藤信介監督だ。監督は今作の演出において、視覚的な派手さだけでなく「登場人物たちが直面する倫理的ジレンマ」をいかにリアルに映像化するかに徹底的にこだわったと明かしている。
撮影現場でのアプローチも極めて独特だ。カットを細かく割るのではなく、長い尺での演技を重んじることで、キャスト陣から本物の疲弊感と焦燥感を引き出した。現場のセット組みにあたってはミリ単位で光源やカメラワークを調整し、閉塞感と開放感のコントラストを強調。カメラの向こう側にいる観客に対しても、まるで自分がその場に立たされ、制限時間のカウントダウンを聞いているかのような錯覚を抱かせる演出技術が詰め込まれている。