2010年、破綻の淵にあった日本航空株式会社(JAL)の再建を引き受けたニュースは、社会に大きなインパクトを与えた。航空事業の現場経験を持たないリーダーが、いかにして短期間でV字回復を達成できたのか。その核心こそ、全社に浸透させた経営哲学と独自の「アメーバ経営」にある。
アメーバ経営とは、組織を小集団に分割し、それぞれのリーダーが独立した採算管理を行う手法だ。現場の一人ひとりが主役となり、毎日の収支をリアルタイムで把握することで、コスト意識と当事者意識が劇的に高まった。さらに、意識改革のための哲学教育を粘り強く続けた結果、大企業病に苛まれていた組織風土は「感謝と奉仕」を基軸とする柔軟かつ強靭な体質へと変貌を遂げた。この危機打破のメカニズムは、不確実な時代を生き抜く成功の秘訣として今なお多角的に分析されている。