読者に凄まじい衝撃を与えたキメラアント編におけるポンズの最後は、本作屈指のトラウマシーンとして語り継がれています。
ポックルたちのチームが蟻(キメラ=アント)の急襲を受け、仲間が次々と惨殺される中、ポンズはポックルの指示を受けて必死に戦線から離脱。救援を呼ぶために自身の蜂を放ち、「最も強いオーラを持つ者」へ向けてSOSの手紙を届けさせました。この機転が後にゴンやキルア、カイトをNGLへ導く決定打となります。
しかし、メッセージを放ち終えて逃走を図ったポンズの背後から、銃を持った蟻(兵隊蟻・ボロボロの銃器を拾った個体)が急接近。ポンズは何の防衛手段も取れないまま、頭部を銃弾で撃ち抜かれて絶命しました。さらに無慈悲なことに、その遺体はその場で蟻によって貪り食われるという、救いのない結末を迎えます。
このポックルとポンズの死亡シーンがなぜこれほどまでに読者のトラウマとなったのか。そこには作者・冨樫義博氏の冷徹なリアリズムと計算された物語構造が存在します。
『HUNTER×HUNTER』という作品は、どれほど魅力的で読者に愛されているキャラクターであっても、実力差と油断、そして運が絡めば容赦なく命を落とす世界観を持っています。読者に人気の高かったポンズを無惨に退場させることで、キメラ=アントという種の圧倒的な凶暴性と絶望感、そして「NGLという閉鎖空間の異常性」を一瞬で読者に刻み込んだのです。美少女であっても特別扱いされないシビアさこそが、キメラ=アント編の緊張感を極限まで高める決定的な演出となりました。