ネット上の掲示板や転職相談で「無期雇用派遣はやめとけ」と警鐘を鳴らされる背景には、単なる給与面にとどまらない、キャリア形成上の深い構造的問題が存在します。
1. 自分の意志で選べない「配属ガチャ」と全国転勤のプレッシャー
無期雇用派遣は派遣会社に常時雇用されている身分であるため、派遣先との契約が満了した場合、派遣会社から提示された次の就業先を原則として拒否できません。契約上、就業規則に「業務上の指示に従う」旨が明記されており、希望職種とはかけ離れた事務処理や、通勤に2時間以上かかる僻地への配属を命じられるケースも珍しくありません。断り続ければ「業務命令違反」として懲戒や契約見直しの対象となるリスクを背負うことになります。
2. 核心業務に触れられない「スキルの固定化」
派遣先企業から見れば、無期雇用派遣のスタッフであっても外部人材であることに変わりはありません。機密性の高いコア業務、事業計画の立案、部下のマネジメントといった経験を積めるチャンスはほとんど与えられず、マニュアル化された定常業務やサポート業務を延々と任される傾向が顕著です。結果として、20代後半から30代を迎えた際に「転職市場で武器になるポータブルスキルがない」という事態に直面します。
3. 解雇リスクと「自己都合退職」への誘導
無期雇用契約である以上、派遣会社側も労働契約法上の厳しい「整理解雇の4要件」に縛られるため、派遣先が決まらないからといって直ちにクビ(解雇)にできるわけではありません。しかし、現場取材では陰湿な実態も浮かび上がっています。待機期間が長期化すると、本人の専門外の過酷な現場や遠隔地の案件を意図的に提示し、労働者側から「耐えかねて自己都合退職する」よう仕向ける圧力がかかる事例が労働組合等に報告されています。