プロ野球における「トリプルスリー」とは、レギュラーシーズンにおいて「打率3割(.300)以上・30本塁打以上・30盗塁以上」の3項目を同一年度にすべてクリアすることを指します。公式記録の表彰タイトルではありませんが、打撃の確実性(ミート力)、長打力(パワー)、走力(スピード)の3拍子が完璧に揃った「究極のオールラウンダー」の証として称えられます。
この記録の成立には、当然ながら規定打席への到達が実質的な前提条件となります。それぞれの指標を単独で達成するだけでも、その年のタイトル争いに絡む一流選手の証です。首位打者を争う確実性、本塁打王を争う破壊力、盗塁王を争う機動力。これら全く性質の異なる3つの数値を、年間140試合前後の過酷なペナントレースを通じて維持し続けることが求められます。
打率3割を残すためにコンタクト率を高めれば長打が減り、ホームランを狙ってフルスイングを続ければ確実性が落ちる。さらに盗塁を企図し続ければ足腰への疲労や怪我のリスクが跳ね上がります。トリプルスリーとは、プロ野球選手が抱える技術的・身体的矛盾を力技でねじ伏せた者だけに許された聖域なのです。