『もののけ姫』に登場するこだまの正体は、シシ神が統べる原生林に息づく「木に宿る精霊(木霊)」です。古事記や日本神話に登場する木の神「ククノチノカミ」や日本古来の民間信仰に由来しており、豊かな大自然の生命力が可視化された存在として描かれています。
ファンの間で長年語り継がれている「こだまが数百年・数万年を経てトトロになる」という説は、単なる都市伝説ではありません。メイキングドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうして生まれた』や関係者の証言記録によると、宮崎駿監督自身がスタッフに向けて「あのラストに出てくる1匹のこだまが、のちに二足歩行して毛が生え、トトロへと変化していく」という趣旨の構想を直接語っています。
作画スタッフがラストカットのこだまの作画に悩んでいた際、監督が制作現場のインスピレーションとして提示したこの裏設定は、古代の森の精霊(こだま)が、やがて里山や人里に近い雑木林の主(トトロ)へと命を繋いでいくという、ジブリ作品の世界観の根底にある「生命の連続性」を象徴しています。