胸鎖関節は、胸の中央にある「胸骨」と、肩へと伸びる「鎖骨」をつなぐ唯一の体幹部関節です。腕を上げたり回したりする動きの支点として極めて重要な役割を果たしています。この関節に許容量を超える外力が加わり、関節包や周囲の靭帯が断裂して関節が外れてしまう病態が胸鎖関節脱臼です。
代表的な症状として、まず挙げられるのが受傷直後からの鋭い自発痛と圧痛です。腕を前や横に動かそうとすると鎖骨の付け根に激痛が走り、腕を自力で持ち上げることが困難になります。さらに外見上の大きな特徴となるのが「胸鎖関節の骨の出っ張り」や陥没です。鎖骨の内端が前方に飛び出すと、皮膚の下にはっきりと硬い隆起が触れるようになります。
主な原因は、ラグビーやアメリカンフットボール、柔道などのコンタクトスポーツでの激突、あるいはバイクや自動車の衝突事故、高所からの転落といった高エネルギー外傷です。肩の外側から強い衝撃が内側に向かって加わった際、テコの原理のように力が胸鎖関節に集中することで発生します。