教団の跡継ぎ問題がこれほど混迷を極めた最大の理由は、大川隆法氏が生前に法的に有効かつ明確な後継者指名の遺言書を残していなかった可能性が高いことに起因します。
大川氏は2023年2月下旬に港区の居宅で倒れ、救急搬送された後に死亡が確認されました。教団側は当初、訃報に関する報道に対して沈黙を保ち、公式な死因や葬儀の日程を即座に発表しませんでした。こうした異例の対応の背景には、生前「不老不死」に近い絶対性を説いていた創始者の死という事実を教義的にどう受容させるかという葛藤と同時に、巨額の遺産分配および法人代表権の引き継ぎに関する書面が整っていなかった混乱があったと取材関係者は指摘します。
一部の信者や教団幹部の間では「霊的な託宣」としての後継指名メッセージが存在するか否かが議論されましたが、実社会の法規に耐えうる公証役場作成の公正証書遺言などの存在は確認されていません。結果として、民法上の配偶者である大川紫央氏の法定相続権と、宗教法人法に基づく規則変更手続きが優先される格好となりました。