戦後の炭鉱町で誕生したとされるもつ鍋は、時代を経て日本を代表する郷土料理へと進化を遂げた。かつてはアルミ鍋で醤油味ベースに炊く質素なスタミナ食だったものが、平成初期のブームを経て全国区となり、現在では食品産業全体を牽引する一大ジャンルとなっている。
特に近年は、冷凍技術やチルド配送の進化により、福岡市内の老舗が手掛ける生モツや秘伝の味噌ダレが、産地直送で全国の食卓へ届くようになった。外食チェーンも競うように独自ブレンドの味噌鍋を展開しており、もつ鍋市場はかつてないほどの成熟を見せている。家庭で作る際にも、手軽な市販スープをベースに専門店の手法を取り入れるハイブリッドな調理スタイルが定着しつつある。