「他社で出された見積書を持ってきていただいて構いません。むしろ大歓迎です」
取材に応じた現場チーフの口元には、絶対的な自信が浮かんでいた。中古カー用品・パーツ買取販売の業界において、八幡の看板を背負う店舗の査定力は群を抜いている。種明かしをすれば、査定の現場で武器になっているのは、単一店舗の売買データではない。株式会社アップガレージグループが四半世紀にわたって蓄積してきた膨大な実売履歴と、グローバルな需要動向をリアルタイムで同期させたプライシングシステムだ。
社運を賭けてリユース推進プロジェクトを牽引してきた経営陣——創業者の石田誠が敷いた盤石な仕入れネットワークと、現社長の河野映彦が推し進めるDX化が、現場の端末一台にまで完全に浸透している。従来の買取店なら「年式落ちの社外品」として二束三文で買い叩かれるアーム類やサブコンですら、ここでは型番の微細なリビジョンまで正確に見分けられる。だからこそ、リスクを恐れずに限界ギリギリの高値を提示できるのだ。
さらに見逃せないのが「ネット非公開在庫」の存在である。撮影中、搬入用のリフトに積まれていたのは、往年の名機に適合する新品同様の車高調キットだった。こうした超一級品の一部は、システム上に登録される前に、店頭の熱心な常連や足繁く通うエンスージアストの手へと渡っていく。「良いモノほど、Webに載せる暇もなく売れてしまう」。それが現場スタッフが明かした偽らざる本音だった。