紅白歌合戦の司会において一般にあまり知られていないのが、「NHK独自のフロア指示システム」と「司会者の裁量範囲」です。民放のバラエティ番組では、司会者の目の前に大型モニターで文字が出ることが主流ですが、紅白の舞台では美術セットの美観を損なわないよう、スタッフの手持ちカンペや遠方のデジタルタイマーを目視する場面が多く存在します。
当時、有吉さんが不審に見えるほど視線を凝らしていたのは、単に台詞を忘れたからではなく、複雑に動くクレーンカメラの死角に入らないよう、指示板の位置を必死に追っていたためです。自身のトークよりもアーティストの見栄えを最優先にするプロ意識が生んだ動作でした。
また、「有吉が番組スタッフに怒っていたのではないか」という一部の噂も完全な事実無根です。後のラジオ番組や関係者の証言によると、本番中は終始和やかな連帯感があり、放送終了後も制作陣から「的確な時間調整で番組を救ってくれた」と感謝の言葉が贈られていたことが明かされています。