神奈川県川崎市に本社を置く日本理化学工業株式会社。ダストレスチョークのトップシェアを誇るこの企業は、ただの製造会社ではない。全社員の7割を超える従業員が知的障がい者という、世界の産業界でも極めて稀有な雇用形態を半世紀以上にわたり貫いている。
元々は、近隣の養護学校の教師から「たった一度でいいから生徒を働かせてほしい」と懇願されたことが始まりだった。試行期間中、言葉による指示理解が難しい社員のために製造ラインの工程を細かく色分けし、感覚的に作業を進められる道具や治具を自社で独自開発。作業効率の追求ではなく「人が作業に合わせるのではなく、作業を人に合わせる」という徹底した現場主義が生み出した発想だ。一企業としての採算を合わせながら、彼らの能力を極限まで引き出す仕組みを作り上げた取り組みは、福祉関係者だけでなく経営者層からも高く評価されている。