胃カメラに関する情報の中には、個人の極端な体験談や誤った認識が一人歩きしているケースが少なくありません。医療現場の実態に即した正しい事実を確認しておきましょう。
誤解1:「鼻からの胃カメラなら100%絶対に痛くない」
経鼻内視鏡は喉の嘔吐反射を避ける上で極めて優れていますが、「鼻腔の痛み」という別の課題が存在します。日本人の成人女性や若年層の中には、鼻腔(鼻の穴の奥の骨の隙間)が生まれつき非常に狭い人が一定数存在します。狭い鼻腔に無理やりスコープを通そうとすると、鼻の奥に強い圧迫痛が生じたり、粘膜が擦れて出血(鼻出血)を起こすリスクがあります。過去に鼻炎や蓄膿症を患った経験がある人や、鼻の通りが悪い自覚がある場合は、事前に医師へ相談するか、口からの鎮静剤併用を選択するのが賢明です。
誤解2:「鎮静剤を使えば誰でも完全に意識を失って熟睡できる」
鎮静剤に対する身体の反応には個人差があります。日常的にお酒を大量に飲む人(アルコール耐性が高い人)や、睡眠薬・抗不安薬を長期服用している人は、標準的な投与量では薬が効きにくく、うっすらと意識が残った状態で検査が進むケースがあります。完全に全身麻酔をかけて人工呼吸器を装着する大手術とは異なり、内視鏡の鎮静はあくまで「自発呼吸を維持した安全な傾眠状態」を目指すものであるためです。お酒に強い体質であることや服薬歴は、事前に問診票や診察で医師へ正確に申告することが大切です。